ガードマンハラスメント、略して「ガドハラ」

まわり道看板 トラブル/クレーム
まわり道看板

 警備をしていると、なにかといちゃもんをつけてくる人に出くわします。
 狭い道でガス工事などをする場合、現場につながる道のいくつかを通行止め(通止め)にしなくてはなりません。そのための許可を警察から取って、通行禁止が可能になります。勝手に通止めにしているわけではないのです。

 私たち警備員は、通行禁止区間に入ろうとする車を止めて、迂回をお願いすることになります。多くのドライバーは素直に協力してくれますが、ケンカ腰で文句を言ったり怒ったりするドライバーもいます。
 カスタマーハラスメントは「カスハラ」と略されるので、警備員に対するハラスメントをガードマンハラスメント、略して「ガドハラ」と呼びましょう。

 ガドハラの割合は、経験的には2〜5%くらいかなと思います。つまり、100台中の2〜5台、20台中の1台くらいの頻度でしょうか。これは地域的な特性や道路事情によって差が出てきます。
 ガドハラをする人には、3つの特徴があります。

  1. 口調がケンカ腰で上から目線
  2. ネチネチと文句を言い続ける
  3. 人から好かれる人相ではない

 何度もガドハラにあっているので、顔を見ただけで「こいつはヤバイ奴だ」と直感が働くようになりました。
 ガドハラの言い分のパターンは、だいたい決まっています。

  1. 「なんで通れねぇんだよ。迷惑なんだよ」
  2. 「通行止めだ? もっと前から(看板を)出せや」
  3. 「はぁ? 通れねぇだと? どうすりゃいいんだよ!」
  4. 「遠回りになるんだよ、そこのダンプどかせや」
  5. 「ちっ、このバカが!」

 (1)の場合。迷惑なのはわかるが、ガスや水道の工事は、地域の人たちのためにしていること。インフラを維持するのは大変なんだと理解して欲しいですね。
 (2)の場合。もっと前といっても、どれだけ前から出せば納得するのだろうか? 長い一方通行(一通)の道だったりすると、数百メートル前から通止めにします。看板だけだとドライバーが見落とすことがあるので、たいていは警備員がついて誘導します。枝道が多いと、その分だけ必要な人数が増えます。それにはコストがかかります。その費用は、皆さんが払うガス料金や水道料金にはね返るのですけどね。逆にいうと、警備に回す費用が乏しいから、最小限の人数で警備に当たるしかないのです。
 (3)の場合。たいていは迂回経路を示した地図看板を出します。ただし、工事業者によってはわかりにくい地図だったりするので、聞かれたら警備員が口頭で説明しなくてはなりません。そのためには、事前に周辺の道路事情を確かめて、迂回経路を把握する必要があります。それを怠る警備員はいるので、隊長になった人が相勤者に説明しておきます。
 今どき地図アプリの精度は上がっているので、人に聞かなくても迂回路は簡単にわかるはずなんですけどね。
 (4)の場合。無茶を言う人は、とことん無茶を言います。自分が世界の中心だと思っているのでしょう。場合によっては、自転車と歩行者も通止めになることがあります。「危険ですから通れません」といっても、強引に突破していく人は少なからずいます。あなたの安全のために言っているのに、耳を貸さない神経には呆れます。
 (5)の場合。罵詈雑言を吐いていく人って、たぶん日常的に周囲に対して罵詈雑言を吐いているのでしょう。思慮に欠ける哀れな人間ですね。

 いずれの場合も、警備員としては、ひたすら事情を説明してお詫びするしかありません。ここで売られたケンカを買ってしまうと、トラブル案件になってしまいます。実際、いるんですよ、口喧嘩をしてしまう警備員が。頭にくるのはわかるのですが、警備員には警察官のような権限はないので、協力をお願いするしかないのです。

 あ、いま思い出したケース。
 人ひとりが通れるくらいの幅しかなかったときに、歩行者はOK、自転車はNGにしていた場合のことです。
 自転車に乗った警察官がやってきました。
「自転車は通行止めです。迂回をお願いします」
 と、言ったところ。警察官は自転車を降りて、こう言ったのです。
「これで歩行者だ。通れるだろ」
 と、威圧的にすごんできたのです。
 理屈としてはそうなのですが、自転車を押して通るには狭いから、だめだといってるのに、なぜそんなこと言ってくるかな。歩行者および自転車の交通量が多い通りだったから、それをOKにしたら、現場は渋滞し混乱してしまいます。それを避けるために自転車は迂回させているのに……。
 結局、その警察官は自転車を押して強引に通っていきました。いま思い出しても、腹の立つ人だったなー。

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