工事現場での健康管理

高速道路工事中 健康問題
高速道路工事中/photoAC 作者: うさみのん

 規模の大きな建設現場や工事現場では、労働環境や健康管理をチェックするようにうながされています。新型コロナの流行や熱中症が頻発することを受けて、お上から通達があったりするからです。

 たとえば、建設現場では以下のような書類に記入します。

新規入場者届

新規入場者届

 「現在体の調子はどうですか」と問われて、「不調」に○をつけたりはしません。そんな回答をしたら、仕事ができないでしょう。
 「血圧はどうですか」と問われて、一家に一台血圧計があるでしょうか?
 これから現場で仕事をしようとしているのに、ネガティブな回答はしないものです。
 日給で仕事をしているので、仕事を休めば給料が減るのです。

 また、ある現場では、健康チェックとして各人の体温を申告する項目があったりします。それは自署の申告ではなく、警備員の隊長(リーダー)がその日仕事に就く全員分の申告を1枚の書類に書いていました。
 ただし、検温などしていないのに、36度とか36.5度とか適当に書いています。つまり、虚偽の申告です。その書類を提出するのが決まりなので、形式だけの書類でしかありません。仕事中になにか健康上の問題が発生した場合、書類上はちゃんと健康管理をしていたというアリバイ作りなのです。

 安全管理のKY活動もそうですが、健康管理でも書類上のずさんな管理でしかありません。まったく無意味なのですが、書類上はちゃんとやってることになるので法的な問題はクリアできます。
 こういう問題は、どんな業界でもあります。自動車の検査不正や工業製品の品質不正、あるいはサプリメントの健康被害なども、書類上はちゃんとやってることになっていたから起きた事例でしょう。

 誰のための安全管理や健康管理なのかと思ってしまいます。
 それは労働者のためではなく、企業利益のためなのでしょう。
 一枚の不誠実な書類は、企業や業界、ひいては社会の不誠実に結びついています。
 そんな虚しい実態を見ると、失望してしまいますね。

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