氷の差し入れをしてくれた住民の方

ビニール袋に入れた氷 健康問題
ビニール袋に入れた氷

 今年(2025年)の夏は、めっちゃ暑かったですね。
 気象の記録的にも、猛暑の記録を更新していました。
 10月になり、30℃を越える日は少なくなりましたが、猛暑の中であった、ちょっとほっこりしたエピソードをひとつ。

 猛暑日のある日。
 とある現場で、私は通止めポジションに着いていました。住宅街の中の、細い道です。車はめったに通りませんが、入ってくる車があると、Uターンしてもらわないといけません。その侵入を防ぐために、警備員が立ちます。
 通止めの看板を立てておけば済む話ではありますが、その道にある家の住人の車は通れるようにしておかなければいけません。
 なので、無人というわけにはいきません。クレームを未然に防ぐための、警備員の配置でもあるのです。

 私が炎天下に立っていると、
「暑いのにご苦労様」
 と、声をかけてくれる住人の方がいます。たいていは無視なので、声をかけてくれる人は、かなり希少です。
 住人と出会ったときには、朝は「おはようございます」、昼は「こんにちは」と最低限の挨拶はします。一度顔を合わせた住人だった場合には、会釈をします。

 その女性は、家から何度も出入りしていました。朝の挨拶から、ずっと炎天下に立っている私のことを気にかけてくれているようでした。
 午後のもっとも暑くなる時間帯。
 その女性が家から出てくると、まっすぐ私のところにやってきました。
 なんだろう?……と思っていたら、
「これ、使って」
 と、手に持っていたのは、ビニール袋に入った氷でした。
「食べられる氷だから、これで冷やして」
「え? わざわざすみません。ありがとうございます」

ビニール袋に入れた氷

ビニール袋に入れた氷

 これには驚きました。
 ご苦労様と声をかけるのも珍しいのに、氷の差し入れとは予想外でした。
 たまたま私がそのポジションにいたので、こういううれしいエピソードを起こったのです。その現場には、全部で10人程度があちこちにいました。

 私は保温水筒を持参するので、頂いた氷は水筒に入れました。これですぐに溶けることはありません。朝、自宅から氷の入ったスポーツドリンクを水筒に入れるのですが、昼過ぎには氷はほとんど溶けてしまいます。絶妙なタイミングでの、氷の差し入れでした。

 通止めをしていると、車のドライバーから、
「なんで通れねぇんだよ。このバカ」
 などと、文句をいう人の方が多いので、やさしい人に出会うと救われます。
 この女性のような方がもっといれば、世の中はもう少し良くなるのになー……と、思ったりします。

 事故、災害、犯罪など、ネガティブな情報ばかりが注目されます。そんな情報に接していると、社会は不運と悪意に満ちているような錯覚を覚えます。
 小さな善意は、ニュースになることがほとんどありません。しかし、小さな善意はたくさんあるはずなんです。
 ただ、その善意に遭遇する機会は、そう多くはないのも事実ですね。

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